第1章 開業準備 第4節 開業後のチェック

開業後の注意点として、下記のポイントを挙げられます。


ポイント1、稼業当初に女性スタッフを必ず入れておく

→患者さんが初めて病院に来るのに患者さんはどんな心境か?
 病院に対して電話なり、来院なり、初めてのコンタクトは緊張するだろう。 
患者さんの普段の医療機関のイメージは受付の女性が応対してくれて、気軽に質問が出来る事だろう思っている。特に新規開業では、どんな病院なのか情報も少なく、電話・来院時の初めの応対は女性スタッフにしてもらうことを勧めます。
しかし、どの位の収入があるのか不安で従業員の給料を支払うのは大変でしょう、雇いのスタッフでなくて妻・母親・姉・妹等の身内で、せめて外来時間内の受付その他の補助業務を頼みたいもの、或いはVTの学生アルバイトを夕方の受付時間に確保する。

ポイント2、開業当初の患者さんには気を使え

→開業当初に来る患者さんとはどんな人だろう?
 当初は地域で口コミ評判もなく、この病院にどうして来てくれたのかを想像する。


(1) 新しくてオシャレな動物病院ね

→何かと新しいものに飛びつく傾向のある方でリピーターとしての継続率が高くない
 他人に自分の情報を提供したがる傾向があるので清々しく・元気良く・堂々・とすれば大丈夫ですか、悪い印象を持たせると後々悪口を地域で言いふらされて厄介ですで、ご注意してください。
しかし、気に入られると患者さんを紹介する。


(2) 前に通院していた病院が気に入っていなく、他にこれといって変えたい病院が無かった。

→病院の品定めてきに来院している場合がある。
 ご年配の一人獣医師病院が多い所にこの傾向がある。


(3) 今度、家の近く動物病院が出来た。

→診療圏が良いところ(最近は少ない)で、今まで遠方まで通院されていた方でしょう。
 その仔の生涯にわたってお付き合いしてください。


(4) 初めてペットを飼った方で、初めて動物病院に来院された患者さん。

→診療圏が良いところで、世帯が増加している地域に多い。
 その仔の生涯にわたってお付き合いしてください。

ポイント3、いい患者さんの紹介で来る患者は、同じくいい患者さんです

獣医師から見たいい患者さんとは、(1)全般的には獣医師が行いたい、その仔への診療を快く応じる、(2)真面目に通院される方、(3)金銭の支払いがクリーンな方等が挙げられよう。このような方は散歩で会う犬の飼い主仲間でも御自身と同じような価値観を(金持ちの友達は金持ちが多い)持っている場合が多いことから病院のファン作りをがんばってください。

ポイント4、通信販売の活用

開業当初は薬品・医療小物ともにあまり多く消費しないことから、通信販売で小分け購入したほうが安くなることがある。
前の代診先で利用していた頻度は気にしないほうが良い、通信販売は規模が小さい病院の方が効果ある場合が多い。

ポイント5、今までやった事がないことはしない

→何か他と違った売りを作る
 医療機関で今までやった事がないことはリスクが大きく、1つの失敗で評判を落としては台無しになる。

ポイント6、サービス業としての従業員教育

医療機関はサービス行であり、特に女性スタッフは、院長よりも患者さんとのコンタクトが多い、
例えば、(1)患者さんからの電話応対(特に近年の携帯電話世代は電話応対能力が落ちている)来院時の受け付けで患者さんが病院のイメージを持つ、(2)来院時の受付・診療補助・会計と患者さんと多くの接点があるがあるのです。開業したら貴方が教育担当者になります。

ポイント7、患者さんとは、飼い主かペットか?

→ペットは言葉が話せない
 飼い主は自分の体でないペットの健康管理・病気・怪我で来院してきているので、これからリピーターになってもらうためインフォームドコンセントに力を入れる。
代診の時は自分で診察していても、やはり、院長の病院で自分が集めた患者さんとは言い切れない。

ポイント8、「犬の外来診療」の量は繁盛のバロメーター

開業後に患者さんの評判は犬の散歩で広がります。猫はインドアーで飼い主同士のコミュミケーションが無いので、「犬の外来診療」の量が地域の評判を示しているといえる。

ポイント9、初めの頃の患者さんはペットの年齢が若い仔が多いが、若い時こそ健康診断をする

開業当初の診療内容はオペや重病は少なく、年齢が若い仔・予防・簡易な処置が多くなりがちです。若い仔の場合は病気が少ないので健康診断を1度も受けていない場合が多い、そこで、フェラリア症の血液検査時にプラス項目を付加して若い時の健康標準値を知ってもらうように勧めてみる。

ポイント10、気づいたときにはフードサンプルを出す

→診察時に体の調子が悪そうな話・太り気味の仔に対しては処方食のサンプルを出す。
 この場合には(1)患者さんは獣医師から健康を気遣って処方食のサンプルを貰って悪く思う人はいない、(2)診察室で診療中に渡す、相手がサービス受けている感じを持つ、待合室に置いて「御自由にどうぞ」は不味いおやつが置いているようなもので、いざ処方食を勧める時にうちの子は処方食が好きではないと言われる事があり、いくらメーカーが無料で持ってくるとはいえ処方食のサンプルは待合室に置き患者さんが自由に持っていくことは病院利益にはならない、(3)処方食のサンプルを食べさせた後に購入する場合がある。

ポイント11、待合室にポスターは増やさない

病院の内装を自分なりに検討して綺麗にオシャレなものにしながら、メーカーが販売促進で多くのポスターを持ってくるが、これらを院内に貼るといたる所がポスターになり、オシャレが台無しで患者さんのほとんど見ていないので逆効果になる。ポスター等の掲示物は決めた位置に決めた期間で貼ることを勧めます。

ポイント12、経費の支払いのための運転資金は充分か?

開業後に当初作成した事業計画書のとおりにならないことも十分に予想される、この場合に運転資金として世帯人数によるが最低350万円以上の運転資金を持っているようにする。
つい出費がかさんで運転資金が乏しくなったら追加で融資を受ければ良いと考えているなら大間違いです。金融機関は計画倒れ(事業計画と違う)のものには冷たく融資してくれませんので、運転資金は購入物を多少我慢してもしっかり確保してください。

ポイント13、繁盛は開業後6ヶ月でわかる

犬の標準外来回数は年間5回、猫の標準外来回数は年間3回が好ましいとさせています。
そこで、開業して6ヶ月経過をしているならば当初の患者さんはリピーターとして2度目の来院があるはずですので注意してください。

ポイント14、カルテの目標枚数はどの位か?

一般的な診療価格でカルテの年間収入は3万円前後(犬の方が猫より高い)なので、とりあえず、年間3,000万円超を目指すなら年間300枚以上の新患カルテ、開業後3年で1,000枚以上の新患カルテを目標にしてみてください。

ポイント15、休診日

休診日は周辺の病院と調整する。

ポイント16、アニコムへの登録

ペットショップで犬・猫を買った場合にペットショップ側では生体のクレーム防止のため診療代金の負担が薄くなる動物の医療保険付きで販売することが多い、このことにより、初めて犬・猫を飼った飼い主は保険会社のパンフレットに記載されているアニコム等の登録病院にたとえ保険のきかない予防であっても通う傾向がある、故に新規の動物病院は患者さんに選んでもらう機会を増やすためにもアニコム等の保険会社の登録病院になることをお勧めします。

ポイント17、クレジットカードの導入

クレジットカードで診療代金の支払いができる動物病院では、クレジットカードでの決済は全体の1割から3割と多く、特に手術料金の支払い率が多い、又、患者さんへの利便性・消費向上・転院で来られる患者さんが前の病院でクレジットカードの支払いが出来たのにこちらではできないのでは患者さんの利便性が損なわれる等の理由からクレジットカードで診療代金を支払ができるようにすることをお勧めします。